お客様をもてなすときにも使用される日本茶は、栽培方法や加工方法などで複数の種類に分かれています。中には、お茶特有の渋味が苦手という方でもおいしく飲めるお茶や、香ばしさを楽しめるお茶もあり、種類が豊富です。おもてなしをする相手の好みに合わせて、出すお茶を変えてみてください。

ここでは、日本茶の基本的な知識と主な種類についてご紹介します。それぞれの特徴に触れているため、ぜひお茶選びの参考にしてみてください。

日本茶とは

日本茶の歴史は、奈良時代ごろに中国より渡来したお茶文化が根付いたものです。鎌倉時代のあたりから茶樹の栽培が盛んに行われはじめ、時代の流れとともに日本全国で愛飲されるようになりました。

茶葉の加工方法は蒸したり炒ったりする方法がありますが、日本茶は蒸して作られる緑茶をさすことが多く、炒る方法(釜炒り)は主に中国の緑茶に見られる特徴です。

日本茶と中国茶は同じチャノキ(茶樹)の葉を使用しています。違いは発酵の止め方にあり、中国茶が釜で炒って緑茶を作るのに対して、日本茶は蒸して緑茶を作ります。

緑茶のことを別名「不発酵茶」と言い、茶葉を蒸したり炒ったりして加熱することで、発酵を止めたお茶全般をさします。日本茶の茶葉やお茶が緑色なのは不発酵によるものです。発酵が進むとお茶の色や香りは変化し、ウーロン茶や紅茶などに変化していきます。

日本茶(煎茶)ができるまで

日本茶が作られる工程は、単純に「茶葉を摘み取って乾燥させて終わり」ではありません。摘む・蒸す・揉む・乾かすと複数の工程を経ています。

また、これらの手順でできるものは荒茶と呼ばれるものであり、皆さんが手に取るお茶になる前段階のものです。店頭に並ぶお茶は仕上げ茶と呼ばれており、荒茶に合組・選別・火入れなどの更なる工程を加え作られます。

この項目では、最もポピュラーな日本茶である「煎茶」ができるまでの工程についてご紹介します。

①茶葉を摘む

茶摘みは手で摘む「手摘み」と「機械摘み」があり、指先で丁寧に摘んでいく「手摘み茶」は貴重です。また、産地ごとに茶を摘む時期は異なり、屋久島では3月、静岡では5月上旬に県内のほぼすべての産地で摘み始められています。

②蒸す

茶葉が発酵しないよう、蒸して茶葉の酸化酵素のはたらきを止めるための工程が蒸す作業です。茶葉が新鮮なうちに行う必要があるため、茶摘みの後、20時間以内に行われます。

③揉みと乾燥

蒸した茶葉を揉むことで、茶葉の繊維をほぐしつつ、お茶内部の水分を揉み出し、一定の温度を保ったまま乾燥させることで健康成分が維持されたまま乾いていきます。揉む工程も細かく分けると4つの段階があり、作業内容はそれぞれ以下のとおりです。

・粗揉(そじゅう)…熱風を当てながら、強く揉んで茶葉を乾かす
・揉捻(じゅうねん)…力を加えながら揉み、茶葉の水分量を均一にする
・中揉(ちゅうじゅう)…再度、熱風を当てながら揉み、お茶を縒(よ)る
・精揉(せいじゅう)…茶葉に熱と力を加え、細長く成形しながら揉む

これを生茶葉の4分の1~5分の1程度の量にまでしっかり乾かすと、荒茶と呼ばれる状態になります。

④選別

荒茶は、そのままの状態では茎や粉など香味が異なる部分も含まれているため、選別作業で取り除かなくてはなりません。また、大きさ自体も大小さまざまなので、ふるい分けて切断し、形をきれいに整えていきます。

⑤火入れ

荒茶をさらに乾燥させ、お茶特有の味や香りを引き出す作業が「火入れ」です。火入れの仕方によって、同じお茶でも風味が大きく変わります。火入れは製茶問屋の腕の見せどころだといえるでしょう。

⑥合組(ごうぐみ)

合組は、荒茶をブレンドすることで、均一な品質で安定した量の製品を提供するための重要な作業です。また、産地・品種・蒸し具合などが違う荒茶の特徴をしっかりと見定めて鑑別することで、より単一では作れない味や香りのお茶を作り出します。

⑦包装と出荷

仕上がったお茶は、計量後に包装して出荷されます。小売店を経て、あなたの手元に届きます。

日本茶の種類

同じチャノキ(茶樹)の葉を使用した日本茶でも、栽培方法や加工方法でさまざまな種類に分類することができます。風味なども異なるため、シーンや好みに合わせて使い分けてください。

ここでは7種類の日本茶について、特徴と飲み方のコツをご紹介します。

 煎茶

日本で最も流通しているお茶で、ペットボトルの原料も煎茶です。緑茶といえば煎茶をイメージする方は多いのではないでしょうか。煎茶には、以下の2種類があります。

・普通煎茶…蒸し時間が標準的のごく一般的な煎茶
・深蒸し煎茶…蒸し時間が普通煎茶の2~3倍長い

深蒸し煎茶は長く蒸すことで渋みを抑えており、まろやかで濃い味を楽しみたい方に最適です。

 玉露

茶葉の新芽が出たときに、「よしず」や「こも」で日光を遮って作られる高品質のお茶です。光合成を抑えることで渋みや苦み成分が作られにくくなり、うまみの強いまろやかな味に仕上がります。最大の特徴は「覆い香(おおいか)」と呼ばれる独特の香りです。

摘み取った茶葉をお茶に加工する工程は、煎茶と変わりません。お茶をいれるときは煎茶よりも若干低い湯温(50~60度)でいれることがコツです。

 かぶせ茶

玉露と同じく栽培途中で日光を遮る方法で作られますが、遮光期間が玉露と比較し短いのが特徴です。玉露が20日〜30日の遮光期間を設けるのに対し、かぶせ茶は7日~14日程度と約半分の期間のみで、煎茶と玉露の中間のような味わいをしています。

玉露ほどのまろやかさ、覆い香はありませんが、煎茶に比べると苦みが少なく飲みやすい点が魅力です。

 蒸し製玉緑茶

別名「グリ茶」とも呼ばれる蒸し製玉緑茶は、煎茶を作る過程で茶葉の形を整える「精揉」工程がない昔ながらのお茶です。そのため「より」の状態に成形される煎茶と異なり、茶葉の形が丸みを帯びています。

さわやかな香りとコクのある味が特徴的で、煎茶と同じ鮮やかさと、のど越しの良さを持つお茶です。

 碾茶(てんちゃ)

玉露やかぶせ茶と同様、日光を遮って作られる茶葉です。かぶせ茶の場合は10日前後の遮光期間ですが、碾茶は玉露と同じく20日以上も日光を遮って育てられるため、うま味成分が多く作られています。

蒸した後は揉まず、葉そのままの形で乾燥させ、茎や葉脈など不要なものを取り除きます。更に出来上がった碾茶を臼で挽いて粉にしたものが抹茶です。

 番茶

一般的な煎茶の収穫時期よりも遅い時期に摘まれたものを、番茶と呼びます。夏~秋頃に摘み取り作業が行われるため、日光に照らされた期間(光合成していた時間)が長く、渋みを多く感じられることが特徴です。

徳島県の阿波番茶・京都府の京番茶・足助町(愛知県)の足助寒茶など、地方によってこまかな製法が異なりますが、価格が安い点が共通しています。

 再加工茶

中国茶の花茶のように、日本茶にも再度加工を加えることでまったく異なる魅力を得たお茶が存在します。たとえば「ほうじ茶」と「玄米茶」の2種類は、多くの方が味わったことのあるお茶ではないでしょうか。

 ほうじ茶

古くなった売れ残りなど、上等ではない煎茶や番茶などを焙じたお茶です。強火で焙じることで香ばしい香りが引き出され、緑茶とは異なる味わいを楽しめます。関西では「番茶」という名で呼ばれる事があります。

昔はお客様にお出しするお茶ではないとされていましたが、近年は食後にほうじ茶を出す飲食店も多く、飲みやすい味が幅広い世代で愛されています。

 玄米茶

番茶や煎茶に玄米を混ぜたお茶で、玄米の香ばしさと緑茶のさわやかさを両方楽しむことのできる点が魅力です。加えられる玄米も、水に一度浸して蒸したものが使われています。

玄米を加えることで1杯あたりの茶葉の使用量が減るため、カフェイン摂取量を控えたい方におすすめです。

まとめ

日本茶のルーツは中国にありますが、中国茶と日本茶を比べるとその違いは一目瞭然です。基本的に発酵せず茶葉を蒸して作る日本茶は、緑色の水色をしたものが多く、特有のうま味と渋味を味わうことができます。

今回この記事で紹介したように、日本茶とひと括りにしても種類はさまざまあり、中には栽培方法から異なるものも存在します。

渋みが少ないもの、まろやかで味わい深いものなど多種多様な特徴を持っているため、ぜひ飲み比べて自分に合った日本茶を見つけてみてください。

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